延王×陽子／碧様

　　　『色』

「火の朱色だな」
　陽子の一歩後ろを歩いていた尚隆は、後にひとつに束ねた陽子の髪に触れる。
「延王？」
「暖かく、熱い色だな」
　そう言うと一房の髪にキスをした。
「・・あちらでは違ったんですけど、こちらで生まれた色がそうだったらしく変わってしまったんです」
　触れられるのが恥ずかしくて、手から逃れるように少し早足で歩くと、尚隆はくつくつと笑う。
「髪の色ではない、陽子自身の『色』がそうなんだ」
「イメージカラーとか？」
　たぶん、尚隆の言っている事柄に一番近い言葉がこれなのだろうと思ったが、当の本人に言葉が通じていない。
「･･･？　まぁ、その人物を一番現している色とでも言おうか。わかるか？」
「なんとなく」
「色を持つ人間は強い、いろんな意味でな。だから他の色をよせつけない。弱い人間の色は他の色に混ざって濁る。他の色を吸収して混ざるタイプの人間もいるが、その者等の色が強ければ混濁はしないものだな。それぞれの色を併せ持った新しい色が生み出される」
　漠然とした感じではあるが、陽子はなんとなく意味がわかる気がした。しかし、何故そのようなことを言い出したのが意図を測りかねていると、尚隆の手が陽子の頬に触れた。
「陽子を俺の色に染め替えて見たいものだが」
　それは難儀だろうなぁ、とひとり呟く。
「すみません」
　陽子は染まらない自分が何か悪いことをしている感じになり謝ると、延はきょとんとした顔になる。
　次いで、大きな声で笑った。
「そう簡単に染まっては面白くなかろう」
「え？」
　陽子が聞き返そうとしたとき、尚隆は陽子の首筋にキスをした。
「ぇ・ぇぇえ延王！？」
　陽子の動揺した声と尚隆の笑い声が部屋の中に響いた。

「んー、やっぱり青かな」
「俺の色がか？」
「そうです」
　陽子は尚隆を見て、そして優しく笑う。
「何故だ？」
　尚隆の青は炎の中心の色だ。火の中で朱よりも熱く、知らないで触るととても熱いという事に気がつく。
　陽子はそう思う。
「陽子？」
　怪訝な表情を浮かべる尚隆に対し、陽子は人差し指を立て自分の口元に持っていき言う。
「秘密です」
　くすくすと笑う陽子の姿に、尚隆もまた優しい表情を浮かべるのだった。

　了

2001.06.02

……碧さんのコメント……

尚隆ｖ陽子です。短いですね、話。
話を書くの、たぶん遅い方だからってのもありますが。
「色」について、なんとなくでわかりますかね？
感覚的な感じかと思うのです。

碧玉25000ＨＩＴのキリリクでいただきました。

髪にキス、頬に触れ、首筋にキス！！
ぎゃーーーーー！！
これで萌えずにいつ萌える！

碧さんの延王は優しくて好き～ｖ　触り魔なあたりがかなりツボ！　
陽子もすごくかわいいの！　憂い憂いしさ全開で、これまた萌え～。
二人の関係（というか、雰囲気）がすごくいい感じですよねｖ

「陽子を俺の色に染め替えてみたいものだが」って、ちょっとあなた！！
これ読んだ瞬間、マジで顔が赤くなりました。

「染めて！　染めてください！！」

これを読んでから、碧さんに対する「小説本出せ」コールが始まったのでした（笑）