氾王×陽子／明美様

　　　『おしおき』

　金波宮の庭園を二人で歩いている。
　話題は、様々な事。
　諸国の情勢から、範国の製品のことまで。
　氾王とお話をするのは、すごく気を使うけれど、勉強になるし、楽しい。
　大輪の花々が咲き乱れている所まで着くと氾王は、
「陽子。こちらを見なさい。」
　と、言われる。
　言われるがままに、氾王の方に身体を向けると、いきなり抱き寄せられた。
「は、氾王っ！？」
　そう、私が叫ぶと、心持ち、氾王の瞳がキラリッと、光ったような気がした。
　それに気がつくや否や、私の唇は氾王によって塞がれていた。
　長く深い口付けに、私は目眩を覚える。
　慣れるほど回数は重ねていないから、いつもされる度にドキドキする。
　ようやく氾王の唇から解放されると、
「そう、呼ぶでないと申したであろ？　忘れたのかえ？」
　そう、耳元で囁かれる。
　私は思い出すと同時に真っ青になる。何故なら……。
「そう呼んだらお仕置きじゃと、申したであろ？　まったく」
　そして、再び唇を塞がれる。
　身体をきつく抱き締められ、頭も動けない位に引き寄せられている。
　それでも、なんとか口付けの合間に氾王の名を呼ぶ。
「んっ……ら、藍滌さまっ……。」
「ふむ。ようやく呼んでくれたか。遅いのう。」
「あ、あのっ、人目がっ！」
　人目が気になる。
　今は、二人しかいないけど、垣根も何も人目を避けるものがなくて、背の低い花が咲き乱れているだけだから、近くを通ればすぐに見られるというのに。
　なのに、氾王は楽しそうに言う。

「お仕置きは人目がある所でするのが一番じゃろ？」

　了

2001.08.30

……明美さんのコメント……

氾王×陽子の教育編「お仕置き」バージョンです。
小説掲示板にカキコするのは恥ずかしかったのでやめたんですけど。
ですので、このまま闇に葬り去ってください。

えへへ。
ニヤニヤでしょう～ｖ

闇に葬り去ってください、とか言われたんですけど、
思いっきりアップさせていただきました！　
ふふ。

明美さんの小説は乙女回路を刺激するメルヘンポインツを抑えていて、
ああ～ｖ
って、読んでいて照れちゃうの。もう、照れ照れ。
ニヤケが止まりません。
この少ない行数でこれだけの雰囲気を作り出せるってところが
すでにもうひとつの才能っていうか。

明美さんや碧さんの小説を読むたびに、
小説って長ければいいってもんじゃないなって心から思います。

明美さんの氾王は、麗しさの中にちゃんと男らしさがあって、思わずクラッときてしまいます。
声も麗しいに違いない！
耳元でささやかれちゃった日にゃあ、あなた！！
カクン、ですよ！　カクン。
　
ああｖ　もう本当にありがとうございます！！
これからも素敵な男性陣を書き続けてくださいねｖ
そして、照れ照れさせてくださいませ（笑）