浩瀚×陽子／狩野様

　　　『我思う』

「集団の中での孤独を感じたことってない？」
　陽子はポツリと呟いた。彼女の持っている器からは甘い茶の香りと共に湯気が静かに昇る。そしてその湯気を顎にあてながら眉間に皺を寄せた。
　向かいに座っていた浩瀚はさらりと答える。
「良くありますよ」
　陽子は無言で何回か頷いた。
「そうなんだ…」
「えぇ、昔からですね。私の場合好き好んでそういう立場に自分を導くときがあります」
「変わっているね」
　浩瀚は心外なという表情をして陽子を見た。陽子は浩瀚の反応に笑みを浮かべる。
「変わっている…ですか……そうかもしれませんね。……それよりも主上。何かありましたか。もしくは困り事でも？」
　浩瀚の声質が優しさを帯びた。
「うんうん。ただ何となく思っただけ……」
　浩瀚は『そうですか』と呟き一口茶を飲んだ。

「孤独を感じたら私の元へ来て下さい。二人で孤独感を味わいましょう」
　陽子は苦笑しながら言う。
「二人だと孤独じゃなくなると思うんだけど…」
「いいではありませんか、たまにそういうときがあっても」
　陽子は朗らかに笑う。
「浩瀚、本当に貴方がいてくれて良かった」
　陽子の言葉を聴き、浩瀚は涼しげな笑みを浮かべた。

了

2002.05.31

……狩野様のコメント……

実は数カ月ぶり（たぶん半年以上ぶり）に浩陽話を書きました。

例のごとく一場面です。

浩瀚が昔から（昔「から」というのがポイントですな！）孤独の中に身を置く、というのが深い～！！
心の奥に何かを隠しているって感じの！！
決して身のうちを明かさない浩瀚が出てますよね～！！

さらりと「孤独を感じたら私のもとへ」だなんてｖ
キャー！！！　浩瀚、大人だ～！！
だからこそ、陽子も安心することができるんでしょうねｖ

しかし！！

しかし浩瀚！！

なんてお茶を飲む姿が似合うんだーー！！！！！

想像してピピー！と来るその姿！
恐ろしいくらい絵になります！！

若年寄！？

あはんｖ　これがコタツで二人して足を入れてたらいいのに～！
これはきっと遠甫の家に違いない！！
（ＭＩＵ設定では、遠甫の宮には畳とコタツがある！！）

なーごーみーーーｖ

狩野さん、本当にステキな話をありがとうございました～！！