延王×陽子／ぽぺ様

　　　『白い服』

「白い服、ずっと着ていないなぁ」
　呟いたのは私。
「え？　白い服？」
　祥瓊が聞き返す。
　目に染みるような青空を見上げて私は頷いた。
「こちらでは白は縁起が悪いって着ないけれど、蓬莱では夏はいつも白っぽい服を着ていたから」
　もう遠い昔の思い出。翻る物干し竿の白いＴシャツは夢の国の光景かもしれない。
「へええ、そうなんですか」
　祥瓊が傍らにいた六太くんを見遣る。
「ああ、そういえばそうだな。あっちは夏になると白い服の人が増える気がする」

　そんな会話をしたことさえ忘れていたけれど。
　夏の終わりに玄英宮に行くと、六太くんに包みをほいと渡された。
「え、何？」
「白い服。着たいって言ってただろ」
　言われて服を広げ驚いた。肩は細い紐だけ、スカートの長さといったら‥‥。確かに白い服だけれど、これはテニスウェアだろうか。
「え、これって‥‥」
「白い服だけど。あ、もしかして花嫁衣裳の方が良かった？」
「ち、違っ」
　思わず言いかけて、六太くんが真面目な目をしているのに気が付いた。これが尚隆なら絶対にわざとなんだけど。
「じゃあ、折角だから着てみるね」
　気づかれないように溜め息を吐き出して衝立の陰に入った。
　久し振りに身に付ける蓬莱の服。あちらにいた頃だってこんなに肌を出す服は着たことがなかった。ましてやこちらに来てからは。
　着た途端に思い知る、身体が開放されるような軽さ。
　でも堂室の中の風景とはあまりにそぐわない。
「ここじゃ変だから、園林に出てみてもいいかな」
「ああ」
「誰もいないといいんだけれど」
「じゃあこっちなら‥‥」
　六太くんに案内されて外に出た。
　青い青い空。真っ直ぐな日差し。
　剥き出しの肩と足を風が撫でる。
　懐かしい感触。
「いい気持ち‥‥」
　恥ずかしさよりも気持ちよさが先に立った。
「ありがとう、六太くん」
「気に入った？」
「うん」
「あの莫迦にも見せてやろうか」
「え、いいよ」
「絶対喜ぶぜ」
「いいってば」
　断っている最中に、六太くんが振り向いた。
「あ、自分で嗅ぎ付けやがった」
「え」
　私は少し身構えて待つ。尚隆はこの姿を見たらなんと言うだろう。
　大柄な身体が現れ、驚いたように立ち止まった。

　了

2002.08.19

うおおおお！！！！！

皇岐のイラストに挿し小説があああ～！！

嬉しすぎます！！

挿し小説、自分が書くことはあっても、書いてもらえることって少ないので、本当に嬉しいっ！！

しかも、めっちゃツボ！！！

嗅ぎつけてきた延王！！（笑）

ぎゃははっは！！！　大好き～！！！

陽子が可愛いけど、延王もかわいい～！！！

ぽぺさんの小説は延王×陽子で、でも、六太×陽子だよなーっていっつも思う私でしたｖ

六太の描写が相変わらず上手いのです！！
見習わねば～！！

真面目に「花嫁衣裳の方がよかった？」とか聞いちゃう六太ｖｖ
「ち、違っ」って動揺しちゃう陽子。

きゅーーーんｖｖ　ツボ～！！！

ぽぺさんｖ　ぽぺさんｖ　本当にありがとうございました！！（泣）
ううう～！！！　本当にうれしい～！！！！