延王×陽子／Ｍ様

　　　『ホワイトデー』

　心地良い疲労感を感じながら、そっと陽子の髪を撫で付ける時間は、目下の所、延王のお気に入りの時間だ。
　相手は誰でも良いという訳ではない。
　もっとも、単なる疲労感を覚える相手ならば数限りなくいたが、心地良い疲労感はこの少女しか与えてはくれないだろう。
　うっとりと目元を赤らめ、細く目を閉じながら浸っている陽子の姿は愛らしいのと同時に悩ましく感じる。
　身体を重ねるようになって最初の頃は、小さな花の蕾のような少女だったが、最近、大輪の花のような色気を感じるようになった。しかも、薫り高く、鮮やかな花。
「陽子……」
　低く延王は囁いた。
「はい……？」
　見上げて来る瞳は潤んでいて、碧の宝玉のような瞳が増々輝いている。
　宝玉の瞳に赤い極上の絹糸のような髪。そして、滑らかな、これまた、極上の絹を思わせる肌。
　延王が持っている――それこそ、宝物殿に仕舞われている品々の数々よりも至宝の少女。
「何が欲しい？」
　それは、蓬莱のバレンタインという行事に合わせて貰った手作りの菓子の礼。陽子は眉を歪ませて考え始めた。
「何でも良いぞ」
「……だったら、我儘を言ってもいいですか？」
　わがままというには真剣な、思い切ったように返された言葉に延王は吃驚する。
「駄目ですか……？」
「いや。何でも良いと言っているだろう。ただ、お前に『我儘』を言われた事がないから驚いただけだ」
　延王は続きを催促するように陽子の頬を撫でた。
「……本当にいいですか？　駄目だったら言って下さいね」
「言っておくが、大抵の物は手に入るだろう。俺は。手に入らない物なんて、はっきり言ってお前の心と身体くらいだ。……お前だけは欲しくとも一時しか手に入らない。お前の身柄は慶国の物だからな」
「……貴方が雁国の物だという事と同じく？」
「ああ。そうだな」
「………でも、覚えていて下さい。確かに私という存在は慶国の物ですが、『中嶋陽子』という一人の女としては貴方の物です」
「……ああ。憶えておこう。だからお前も覚えておけよ？　反対の事も言えるんだからな」
　陽子は言ってしまった事に顔を赤らめていたが、延王から返された言葉に、増々顔を赤らめた。
　陽子のそんな様子に男は笑う。
「で？　何が欲しいんだ？」
　延王は陽子の髪を指に巻きつけながら再び聞いた。
「……貴方の髪を一房下さい」
　告げられた望みに延王は虚をつかれた。
「髪？」
「ええ。貴方の一部が欲しいです。……何時も、一緒にいられないから。だから、せめて」
「それで良いのか？」
「ええ。それが欲しいんです」
　男は陽子の頬に一つ口付けを落とすと、臥牀を滑るように降り、脱ぎ捨てた衣と折り重なるようになっている剣を取り上げた。
　ぷつり、と音を立てて延王の髪が一房手元に切り落とされ残った。
「これで良いのか？」
「はい。ありがとうございます。………お守りにしますね」
　鮮やかな笑顔と共に、陽子はもらったばかりの延王の髪に口付ける。

　二人が出会ってから本当に様々な事が起こった。
　これからも起こり続けるだろう。
　この先何が起こるかは誰も解らない。
　けれど、隣国の王はずっと――。

　陽子が男の黒髪を手巾で包むのを見ながら、延王はそれが「陽子」であってほしい、と心から思う。
「陽子」
　手を引き、抱き締め、臥牀に押し倒しながら延王は「愛している……」と呟いた。心の中で「何時までも」と思いながら。
「えん……」
　そして、髪を見て思い出す必要がないほど、身体に覚えこませてやろう、と思う。強く、激しく彼女を抱いて。

　了

2002.08.19

……Ｍ様のコメント……

何だかちょっと可愛らしい感じに仕上がったと思うのは私だけですか？
……もしかして、私、麻痺しているのかしら

でもそれは私！！

これじゃ満足できません！！

やっぱり挿入してなくちゃ！！

……というのは冗談ですが（笑）
でも最後の２行足してみた（笑）

ちょうど６万ヒットのときに日付がホワイトデー付近だったのですｖ

Ｍっちの陽子はいつも初々しいというか、これを「かわいい」と言わずになんと言う！！（叫）

でも激しくてｖｖ

このギャップがマニアにはたまらないんだよね！！
（だれがマニアだ！）

ちなみに私がＭっちにした6万ＨＩＴのリクエストは
『たっぷりたっぷり挿入して、何度も何度もやって下さい～ｖｖ』という……

すみません（土下座）

私がＭっちにするリクエストって、いつもそんなのばかりです（笑）
このごろはもっとすごい……。

そして、こりずにもっとすごいリクを……といつも考えているのでした（笑）

Ｍっちｖ　６万ＨＩＴのお祝いありがとうございましたｖ
大好き～ｖ　大好き～ｖ