浩瀚×陽子（キリリク「五百年」の後日談）／亜美様

　　　『女官は見た』

ひがな一日を、大公の居室にて過ごされることが多くなりました。
女官たちも心得ていて、声が掛かるまでは邪魔をせぬよう、遠くにて控えておりますが、ご本人たちは取り立てて何かをなさるということはなく、静かに語らっておられることが多いようです。
食事を共にし、書物などを紐解き、この慶について主上のご理解がいや増すように、大公が丁寧に教えられ、この慶に生まれた私どもなどよりも、下々のこと、隅々に至ることさえも、既に主上は精通しておられます。
主上が朝議などご政務のため、内殿にゆかれると、大公は一人残られます。当初は新しい冢宰以下六官からも、参内を求められましたがそれを固持されたとお聞きしました。そして、一人の時間は大抵何か書き物をなさっておられます。香などはお嫌いになるようで、新しい書院にはすっかり墨の香りが染み付いてしまいました。
近頃は新しい冢宰の元、官たちも落ち着いたようで、主上が何事もなくご政務からお戻りになると、大公の書された書を御覧になり、またご質問などをされます。
まれに務めて明るいお顔をなさっているようでも、大公はただ笑顔でお迎えになり、常とは変わらぬ風に拝見しますのに、お茶を下げに参るときには主上のお顔は晴れ晴れとなさっています。
午後は時折、庭院の四阿にて休んでおられる姿もお見かけ致します。大抵、主上は大公のお膝を枕に眠っておられて、大公は書物などを読んでおられるか、または、目を閉じた主上のそのお顔を只眺めておられることもあります。御髪を弄んでおられるお姿をお見かけしたものもおりますが・・・冢宰として主上の傍らにあったときには見られなかった静かで穏やかな表情に、大公がそのような時間に満足しておられることが私どもにも伺えます。
が、目を覚まされた主上は、何故に起こさなかったかと、不満げな顔をされ、共に過ごす時間が減ったではないかと不平を申されます。こちらは朝から晩まで語りおうておられるのにまだ物足りないご様子。
今日は夜もこっちにいるぞ、と主上が申されると、大公は静かに微笑まれます。
こうして正殿に夜が参ります。

2005.03.08

キリリク「五百年」の後日談を亜美さんがっ！！
（題名は勝手につけちゃいましたが）

ありがとうございますーーーヽ(ﾟ∀ﾟ )ﾉ

みんなが一番知りたいのは、その後（夜）だと思うけど！(笑)　
というか、私が一番知りたいっ！！

なにしろ、冢宰時と違って日中暇持て余して体力有り余ってるし！！　（ｎ‘∀‘)ｎきゃあ～ｖ