アスラン×カガリ
『少年？』
「……なあ、アスラン」
カガリが話し始めたのは部屋に入ってきてから５分後のことだった。
ちょっといいか？ と部屋に入って来たカガリはただ部屋の中をうろつくだけで。
俺はずっとパソコンの画面に向かってキーボードを叩き続けていた。
「なに」
「あのさ……、この前、誰かとどこかに出かけたか？」
「この前って？」
「この前」
俺は苦笑した。
「……答えになってないよ、カガリ」
「ええと……日曜日、とか」
「別に出かけてないけど。何かあったのか？」
「キラとどこかに出かけた？」
「出かけてない」
「他のやつとは？」
「日曜日はカガリと一緒に買い物にいっただろう？」
「だよな」
俺は画面から目を離して、カガリに向き直る。
「何かあったのか？」
「お前が、少年とデートしていたって噂になってる」
「はあ？」
「えっと……それで、そいつとキスしていたって……」
「ああ……」
見られていたのか、と俺は思った。
「したな」
「したのか！？」
カガリが叫んだ。なんだかひどく怒っている。
「したのかって……ちょ……ちょっとまて、カガリ」
俺は焦った。
もしかして、もしかするけれども。
「俺がカガリ以外の誰かとキスしたとか思ってるのか？」
「だって今そう言った！」
「したのはお前にだろうが」
「じゃあ、少年って誰だよ！」
「お前以外の誰がいる！」
カガリの顔つきが変わった。
「何で私が少年なんだ！」
「落ち着けって。俺がそう言ったわけじゃない。お前が『少年』と間違えられているんだろ？」
「なんで間違えられるんだ！」
「……」
「私のどこが少年に見えるんだよ！ 立派な女の子だろうが！」
「……」
なんて返せばいいんだ？
「……そうだよな」
俺は溜め息をついた。
了
【カガリストに22のお題 08】
2003/12/15